2008年 3/8 明神山踏破・・・自然は魂のふるさと(その二)
12時30分から帰路につく。
帰りは乳岩峡登山口に下りる計画である。
もし、登山道の案内パンフレットをあらかじめ見ていれば、
「馬の背岩」を通る稜線道を引き返し、
6合目の合流点から通常コースの登山道を乳岩峡に向かったと思う。
しかしながら
「帰りは、はしご、くさりの厳しい稜線を避けて、
その西側の山腹の点線道を下ります」
と田端さんから説明を受けていた。
6合目から約1km正規の登山道を下った「鬼岩乗越」で合流する点線道であり、
単純に稜線道より楽だと私も思ったのだ。
頂上からは当初、来た方向とは逆の西南に向かって下りる。
一気に下りれると思ったが…。
ところが奥三河の山々は、
山襞が非常に複雑である。
しかも最近はパンフレットに記されている登山道以外の山道を
歩く人などほとんどいないようで、
雨水で流されたり、
倒木が塞いでいたりと、
まるで「荒野」そのものである。
この山地の特性から歩く距離も、
稜線道の倍近くになるのではないかと思われた。
もっともその分紅葉はある程度楽しめたが…。
帰ってからパンフレット等を見ると、
ちゃんと「悪路」と書かれていた。
これも「大名的登山」を戒めるいい体験となった。
13時30分にやっと鬼岩乗越の合流点に出る。
ちょうど山頂で一緒になった中年の二人組の女性と会った。
我々から20分ほど後に下山を開始したとのことである。
もっとも彼女たちは毎週どこかの山に登っているとのことで、
装備も素晴らしく我々よりも軽快に歩いてはいたが…。
我々はもうこの時点でかなり足腰にきていた。
もっとも誰もそれを口には出さないが、
私は自分の筋肉の状態から他の3人の歩き方を見てそう推察した^^。
14時、かなり大きな岩が見えてくる。
岩というより小山に思える。
鬼岩ロッククライミング場である。
ちょうど神奈川県の学生グループが
鳳来寺湖畔のキャンプ場に泊まりながら
毎日トレーニングに通って来ていた。
こんな巨岩がどうして地表に現れているんだろうと驚くとともに、
それに果敢にチャレンジする若者達に感心し、数枚写真に納める。
やがて岩清水が滲み出て小さな小川となっている谷間に下りる。
こちらは自然林がそのまま残っている証拠でもある。
乳岩川の源流だ。
太古のいにしえから、
こういう自然林からの小さな清水が無数に徐々に集まって
東三河の豊川の豊饒の清流を、
時を超えて流れてきたのである。
思わずその岩清水の時の音をとらえるべくシャッターを押す。
そして14時50分、乳岩分岐点に到着。
1周約30分ぐらいで回れると案内に書いてあるが、
ここまで下りたところで中年4人組の足腰は限界近くにきているはずである。
そのためだろう、再度の登りとなるので誰しも躊躇する。
例の女性二人組は、
私達は何度も来ているので今回は素通りします、
と颯爽と下山する。
もしここで大倉さんの
「せっかくだから登ってみましょう」
の声が上がらなかったら、
奥三河随一の秘境を危うく見落とすところであった。
乳岩峡一体は、流紋岩質凝灰石、
つまり火山溶岩から成っており、
川底も一枚のように見える平坦な岩盤でできている。
乳岩山そのものは、標高675mの岩山だが、
その南面に標高約400mの一大岩塊があり、
この岩塊には大小いくつかの洞窟がある。
溶岩の石灰質部分が長い時を経て風化してできたのだ。
その最大のものを乳岩洞窟と言っている。
乳岩では、この岩塊を鉄はしごで大小の洞窟をくぐり抜けながら
右回りに巡回できるようにしている。
鉄はしごをまさに「はしご」しながら
狭い洞窟のトンネルを上にくぐって平らな部分に登ると、
さらにその現前に天空に岩のアーチが見えてくる。
近寄ると、そのアーチに見える穴の中の遠景に、
乳岩山の山頂を眺めることができる。
絶好の構図の写真が撮れた。
そして更に、そのアーチをくぐって岩塊の裏側を下り、
最後に乳岩洞窟の中を登り切って、
演劇ホールの2階席のような感じで
登ってきた入口方向に、
下界を見ることができる。
まさに愛知県随一の秘境と言ってもいいだろう。
昭和9年に国の名勝天然記念物に指定されただけはある。
このような岩塊の秘境を作った自然力も凄いが、
それをチャンと回れるように巡回路を作った人間も素晴らしい。
鉄はしごがかかる岩肌をよく見ると、
階段として削った古い跡が確認できる。
かっては、修験道として使われていたのである。
大きな洞窟にも何体も石仏像が立っていた。
今でこそ鉄はしごで全員安全に回れるが、
かっての修験道時代は、命がけの巡回路だっと推察される。
そういうことを知ってか知らずか、
乳岩峡登山口まで車で来た若いカップルが
場違いのハイヒールで苦労しながらも歩いて回れるのは、
これも時の進化なのであろう。
足の痛みを忘れ、
最後の体力を出し尽くして、
充分に自然を堪能した。
15時20分、乳岩の巨大岩塊下の無人休憩所で約10分休憩し、
最後のおにぎりを食べる。
体力は限界に達したが、
奥三河の自然の雄大さに感服する。
そして、新年の連隊本部の訓練始めに、
是非この明神山で山地機動訓練をしようと決心する。
ここから登山道入口までわずか10分だが、
この間の乳岩峡にも目を見張らせてくれるものがある。
川底から川岸まで全て一枚岩の河床を体験できる。
いわば習字のすずりの中を歩く感じだ。
気をつけないと斜面で滑り川底に落ちてしまう。
実は大倉さんは、
スローモーションのように立ったままで滑り落ち、
膝まで濡れてしまった。
近くで硯石も採れると伺っていたがなるほどと思った。
登山口には無料の10台ほどの駐車場もある。
家族なら車で来て、
この乳岩を回るだけでも
自然の雄大さを味わうことができるだろう。
15時30分に登山口の休憩所に着いてからは、
田端さんの「計画」通り、
16時30分三河川合駅に到着。
駅から17時02分の豊橋行きの列車で帰路につく。
奥三河の大自然の深さをまざまざと感じるとともに、
山歩きは準備の段階から常に自分で状況判断する、
といういい教訓を得た明神山踏破であった。
そしてこの素晴らしい機会を与えていただいた中西さんに深く感謝した。
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