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2006年 12/7 香嵐渓の紅葉…一人の思いが時を超えて

香嵐渓の紅葉
…一人の思いが時を超えて


11月24日、東海地方の紅葉の名所として有名な
愛知県豊田市足助町の「香嵐渓」の紅葉の撮影に行く。

香嵐渓へは東名岡崎ICから国道1号・248号等を経由して車で約40分。
流石にママチャリの行動範囲を超えており、
今回は同じ単身赴任中の榊原さんの車で案内してもらう。

香嵐渓は、国道153号にかかる巴橋から上流
約1.2kmの巴川がつくる渓谷美と、
ご飯を盛ったような形の飯盛山からなる地域で、
紅葉の景勝地としてばかりでなく、
夏の水遊びなど四季を通じて身近に自然が味わえる場所として人気である。

香嵐渓のもみじは、香積寺11世の三栄(参栄)和尚が、
江戸時代の初めの寛永11年(1634)に植え始めたのが始まりといわれている。

三栄和尚は、巴川沿いの参道から香積寺にかけて、
美しい自然を、より美しくするとともに足跡の人々が幸せになるように
願いを込めて、楓、杉などを般若心経を1巻詠むごとに1本1本植えていった。

その後大正の末から昭和にかけて、
飯盛山を森林公園にしようと住民が総出となって登山道を作り、
もみじや桜を植えて現在の景観を誇るようになった。

昭和5年、大阪毎日新聞社社長・本山彦一翁が来町の折り、
時の深見林右衛門町長、香積寺35世住職・雲外黙仙和尚らが、
翁来町の記念として命名を乞い、
「飯盛山からの薫風は、香積寺参道の青楓を透して巴川を渡り、
香しいまでの山気を運んでくる。山気とは即ち嵐気也」。
こうして香嵐渓の名前が命名された。


9時過ぎに巴橋手前の駐車場に車を置くと、土産屋などの前を通って、
先ず、待月橋をわたって飯盛山の方にわたる。

ここから飯盛山の麓沿いに香積寺の山門前を通りながら一番奥の香嵐橋までは、
南からの太陽光線の関係で逆光で紅葉を見透かす格好になり、
真っ赤に紅葉したモミジの一枚一枚の葉脈まで
カラーシートのように赤く透けて最高のシャッターチャンスを味わえる。

赤いモミジの隙間から土産小屋の藁葺き屋根を撮る構図も結構面白い。
土産小屋などが香嵐渓にあわせて昔ながらの藁葺きなのがいい。

朝日を浴びてその藁葺きの屋根から生きた湯気が上がっている。
町をあげて香嵐渓の自然と文字通り共生している息吹を感じた。

紅葉の一番奥の香蘭橋をわたった南側の川岸に
昔風の小さな茶店があり五平餅を注文、
深々とした山間の気を全身に感じながら舌鼓を打つ。

対岸のやや上流には茅葺きの風情のある長屋作りの家があり、
手前上に香蘭橋を置いて川越に小屋を写すため橋のたもとの水際に下りる。

水の流れも昔ながらの清流で気持ちいい。

撮影後、再度香蘭橋をわたって北側に帰り、
その小屋に行ってみると小さな昔ながらの温泉宿であった。

しかしながら玄関の戸に
「17年をもって店終いしました。これまでありがとうございました」
と書かれた小さな札が山風に吹かれて主を捜すように揺れていた。

来た小道を逆光のシャッターチャンスを再度求めながらゆっくり帰り、
途中の三叉路を香積寺に通じる山側にとる。

香積寺一帯は、モミジと杉木立が生い茂り、
モミジの開祖・三栄和尚の植えたとされる杉も2本残っている。

階段を上がった所にある山門を境内から逆に見通せば、
逆光の中でまだ紅葉してない黄緑のもみじなどが眩しく撮れた。

また蜘蛛の巣にかかった一葉のモミジが蝶のようにひらひら回っており
28ミリ~300ミリのズームレンズを最大望遠にしてシャッターチャンスを伺う。

『やはりこういうときは400ミリが欲しいなあ…。
退職金出るまで我慢かあ…。
コンクールで優勝して賞金をゲットするような
シャッターチャンスも最近ないからなあ…』^^;

香積寺を出て山沿いの小道を下るとやがて朝来た巴川沿いの散策道に戻った。
飯盛山の麓に三日月を彫刻したように散策路が二本並んで作られているのだ。

そのまま川沿いの散策路を国道153号まで歩き
巴橋を南側にわたりながら橋の上から香嵐渓の全景を撮る。
川面に紅葉が映えて写るのでここもいいシャッターチャンスである。

巴橋からは南側川岸の歩道をさかのぼる。
今度は、順光で、巴川の青い水の流れと
太陽光線を浴びた飯盛山麓沿いの紅葉のコントラストが狙いだ。

着いた時に横切った土産屋通りを再度過ぎ待月橋を渡らずに
そのまま南川岸沿いに進むと、
香積寺一帯のモミジを川越に見渡せる河岸段丘の佳い位置に
「助奄」という茶屋がある。

周辺を探したが結局この店の川に面した庭から撮るしかなく立ち寄る。
ともに400円の「甘酒」と「抹茶」しかないとの事で
アルコールが入って無いことを確認して私は甘酒、榊原さんは抹茶をたのむ。

一番上流で廃屋となった温泉宿を見てきただけに、
『抹茶と甘酒だけなら温泉風呂と違って経費もかからず手軽にできて
効率よく収入を得られるなあ』
と妙に感心しながら絵のような香積寺の紅葉を眼前に味わっていただく。

更に待月橋まで入った全景を撮るために庭囲いの低い竹藪を跨いで越えて、
石垣上に乗り出してワンショット。

文字通りワンショット400円で今回の撮影を終了する。

実は、茶屋に入る前、
この最後の茶屋を過ぎていいシャッターチャンスの場所を探したが
茶屋から先は川からやや山際に入って普通の農道のようになっていて
いい場所が見つからなかったのだ。

その引き返した場所に道路脇を利用した10台ほどで満車となっている
小さな駐車場があった。

大学生が一人山陰で寒そうに小さな椅子に腰掛けて
建設学の専門書を読みながらアルバイトしていた。

「勉強しながらできるいいバイトしてるね。土日は稼ぎどきかい?」
「いえ、常に入れ替わるので曜日に関係なくいつも満車状態ですよ」
「一日どのくらい?」
「50台ぐらいです」
『う~~ん、50台/日×1000円/台×30日で……月150万円!!』
「うん、いいバイトだ!!」^^

昼前に茶屋を出てそのまま小道沿いに車を置いた巴橋近くの駐車場まで来ると、
次から次に来る観光バス客などでまさに人、人、人の波。

「橋の上は写真を撮らないでくださ~い。立ち止まらないで歩いてくださ~い」と
地元のボランティアの整理係の人の声がひっきりなしに聞こえてくる。

豊川の官舎を早めに8時に出ていて良かったと思う。
平日の金曜日でさえこれぐらい混むのだから土日はまさに人で芋洗い状態だろう。

でも、このように観光客が集まると言うことは、
この香嵐渓そして足助地方が経済的に十分自立していけるということでもある。

近くには、老人介護・福祉と観光を兼ね備えた
新しい形の施設「百年草」などもあり、
昼食はここのレストラン楓で
天然素材にこだわった料理を安心して美味しく頂いた。

そして思わず北海道単身赴任時代の滝上町の芝桜公園や
上湧別のチューリップ公園を思い出した。

滝野町の芝桜は、昭和34年、
町長に就任した朝倉義衛氏が市街地を見下ろす滝上公園の一隅に
みかん箱一個分の芝桜を植えたことに始まる。

朝倉町長3期12年、次いで石田町長の12年間
計24年間にわたって毎年芝桜を植え続けた結果、
今では毎春10万平方メートルの丘陵が
一面ピンク色に染まる「芝桜」の名所となって人々を惹きつけている。

上湧別のチューリップ公園も、
元々は屯田兵の寒村だが、
昭和32年、農業普及所長の西川照憲氏の
「チューリップで夢を見よう!」の合い言葉と、
この夢を継いだ屯田兵訓練場跡地の「老人農園」の
ご老人達の2アールの植え付けから始まったものである。


香嵐渓も三栄和尚の1本1本の植樹の「思い」と、
これを受け継ぎ自然と「共生」する地元住民の「心」が、
「ともに分かち合って生きよう」という高い精神的「波動」の「場」を形成して、
訪れる人を「癒す」から人々が次々と集まって来るのではないだろうか。


最近はいざなぎ景気以上といわれながら一般消費者にはその実感はない。

アメリカナイズされた大企業等の合理化・効率化でオーナー等のための
企業利益を出すために、消費者でもある一家の主等が「整理」されているからだ。

「会社」とは文字通り「社会」の裏返しで、
一人でも多く従業員と生活の糧を分かち合う
という公益理念が経済的にも一番重要なのではないだろうか。

経済とは経国済民、国を治め人を救うことでなかったか。

かっての日本社会は、盲目の人にも按摩という職業を与えて
経済的自立ができるようにした。

文字通り分かち合いの社会である。
幕末期に近代化の教師とし来日した欧米人が
驚愕し感嘆した日本的分かち合い・思いやり・もてなしの社会である。


香嵐渓では、約400年前に始めた三栄和尚の一本の植樹が、
今では何千、何万という人々の生活の糧として生き続けている。

これこそ形こそ違うが、本当の人類歴史への企業家精神ではないだろうか。

ひるがえって、現代に生きる我々も、
昭和の滝上の芝桜などの創始者のように、
資本主義が度を超えて我欲主義に堕した今こそ
三栄和尚の清浄な思いに触れる必要があるのではないだろうか。

遙か高い異次元の空から人々で賑わう香嵐渓を見て、
三栄和尚が微笑んでいる気がしてならない。

是非、皆さんも一度香嵐渓で感じてみては如何だろうか。


     一人の「思」いが、
           人を「動」かし、
                社会を「変」える
 


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