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2006年 7/11 葦毛湿原の野ハナショウブ

6月最後の土曜日、愛知県豊橋市の東端にある葦毛湿原の野ハナショウブの撮影に行く。

その1週間ほど前に中日新聞の第一面の下部に囲み記事で
紫の可憐な野ハナショウブの花一輪の写真記事があり、
往復約30kmのママチャリでの「遠征」を決めていた。

葦毛(いもう)湿原は、別名「東海のミニ尾瀬」とも言われ、
都市近郊の湿原として全国でも珍しく、
約5ヘクタールの原野に約250種の湿原植物が自生し
四季折々の野生の花を楽しませてくれている。

1992年2月28日には、愛知県指定天然記念物とされている。

6月24日、朝9時に豊川市の中心地をママチャリで出発。
豊川沿いに下っても行けるが体力を考慮して
県道400号豊橋豊川線の最短距離を約8km牛久保の町などを抜けながら南下、
国道1号線に出て左折、
豊川河口にかかる吉田大橋の上からまず今橋城跡を撮影する。

ここは、かって戦国時代に牛久保の牧野のお殿様が戦功により
今川氏から築城を許されて立てたお城で、
今に続くうなごうじ祭のきっかけとなったお城でもある。

今は豊橋公園として綺麗に整備され、市庁舎も隣接し、豊橋の文字通り中心地である。

現在は、櫓の一部だけが再現されているが、
公園の緑の林の中で真っ白な物見櫓風の建物が河岸段丘に引き立って
吉田橋方向から見ると結構絵になる。

撮影後、その櫓に行ったが、眼下にひろがる豊川の河口では
昔ながらのように小さな漁船とシジミ?取りをしている人がいた。

喧噪のビル街の中で時間を超えて静かな古き良き江戸時代を眺めているような
感覚を覚えた。

地図を見ると葦毛湿原は、ここで合流する小さな河川の朝倉川の源のようだ。
帰りは朝倉川沿いと決めて、まずは、確実に行くために県道4号線沿いに真東に進む。

路面電車の豊橋鉄道東田本線沿いなので先ず迷うことがない。
市街地を約5kmぐらい走ると、岩田町の田園風景に出た。

実は、葦毛湿原には、通常の湿原にある植物の堆積層が一切ない
日本でも特異な湿原なのである。

愛知県と静岡県の県境を南北に走る弓張山脈の西側山麓に位置し、
標高250m前後の山に囲まれ、
標高70mから60mのU字型の浅い谷底低地となっている。

ここに地下水の湧水なのか日量20~30tの水が絶えることなく流れて
湿原を形成しているのだ。

地図を見れば湿原から東に山を登れば約1kmで峠に達し、
更にそこから約3kmで浜名湖に達する。
多分、浜名湖の水が浸みだして来ているのではないかと勝手に想像した。

その豊かな水を受けて平野部の麓に多くのため池がある。
豊かな清水で作られる岩田町のお米はさぞ美味しいことだろう。

只、どの用水池も金網で囲まれているにも関わらず、釣り人がいた。
ルアーでのブラックバス釣りでないことだけを祈った。

葦毛湿原は、一番上流にある長尾池から森林内の山道を
更に500mほど東に緩やかに登った所にあり、
湿原入り口は、四季折々の花の案内板や野外用の椅子なども置かれた
ちょっとした自然の休憩所がある。

ここから湿原内は尾瀬のような木道が整備されている。
湿原に入った途端に「ホー、ホケキョ」とウグイスの出迎えを受ける。

尾瀬の湿原に比べるとまさに猫の額ほどの狭さではあるが、
豊橋の中心部から僅か5kmほどの位置で、
ウグイスのさえずりと清水のせせらぎの音を聞きながら
自然の息吹を久しぶりに感じた。

新聞で見た野ハナショウブは、まさに湿原全体で合わせても
20輪もなかったのではないだろうか。

でも、自然の雑草?に負けずに凛として時代を超えて一人紫の花を見せる生命力は、
まさに花の野武士の雰囲気でもある。

観賞用の花菖蒲はこの野ハナショウブから人工的に作られたのだ。
木道沿いで接写して撮れる花は数輪しかない。

同年齢ぐらいのご夫婦が木道に三脚をセットして真剣に撮られていたので、
よけいな気遣いをされないようにまわれ右して入り口の休憩所で休む。

埼玉では、三男悠人小6がオール鳩ヶ谷の5番セカンドで2回戦を戦っており、
メールで妻に問い合わせる。
「悠人四球で盗塁」「3-0で勝ったよ!」

ちょうど前橋市内から来られていた80歳前後のご夫婦が休まれていた。
「ああこの林の中の風は涼しいねえ」「もっと休んでいこうか」
という会話を聞きながら、観光的な花菖蒲園のにぎやかな写真もいいが、
大自然の中で数輪の花に侘び・さびを体感しながらの撮影もいいなと思う。

帰りは、吉田橋まで山麓が源となる朝倉川沿いに沿ってママチャリを走らせる。

上流の川沿いの小道は桜並木などの緑のトンネルになっていて自然を満喫できる。
何よりもすれ違う人が皆さん顔があった瞬間に挨拶を交わしてくれるのが嬉しかった。「本来の日本社会の原型が残っている」そう感じた。

川の中流付近は近郊住宅街になっていた。
整備された河原で親子連れが気持ちよさそうに水遊びをしていた。

下流にくると市街地となって川沿いに進むことも難しい。
何とか最後の小さな橋を渡って豊橋公園に帰ってくる。

時間はすでに3時を過ぎている。
流石に疲れて豊川に帰る街道の途中で感じのいい流行の喫茶店で休憩する。

ほぼ満席で僅か1mも離れていない隣の席には4人の若者の一団がいた。
当然の事のように目が何度か合っても会話はおろか目礼さえもなく、
そこにお互い見えないコンクリートの壁があるかのようであった。
僅か1時間前の葦毛湿原の周辺の人間的な雰囲気とこの落差……。

一人チーズケーキセットを味わいながら、
次男聖人高2の試合結果を父兄会の小幡さんにメールで伺う。
「5-1で獨協に勝ちました。池田君は、
レフトから最終回にキャッチャーに入りました。
二安打活躍しましたよ。調子戻ってきたようです。
安心してください」。

かってドイツを訪れた際、セントニコルス祭で賑わうベルリンの駅前の
レストランで相席を余儀なくされたが、
隣に座った老若男女のドイツ人と片言の英語でお互い和気藹々と
会話を楽しんだものだった。
ちなみにドイツは戦後、都市でも自然との共生で再生していた。

豊橋市街地から僅か5kmの葦毛湿原。
人間も自然の一部、自然を失うと人間性も失う。
葦毛湿原は、そのことをいつか気付いて貰うために
今日も絶えることなく自然の奇跡の湧水を生み出している。

果たして日本人は、いつその僅か5kmの心の道程の進化を遂げ得るだろうか…。

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