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強い組織をつくる言葉...地球より重い命、その命より思い任務

【強い組織をつくる言葉その一
      ...地球より重い命、その命より重い任務を背負っている】

 今年も残すところあと数日となりました。
 いよいよ来年から大転換の序幕が上がるとも言われております。
 今回は、その端緒となった阪神淡路大震災にかかわる思いを綴りました。
なお、今年から年賀状は出さないことにしました。
その為、この場を借りて、一年の感謝と、
新たな年の弥栄をお祈り申し上げます。


 ≪備えあれば患いなし≫
 
23回目の1月17日がやってきます。
そう、阪神淡路大震災です。

この時から日本、いえ地球は大変動期に入ったと言えます。

これから北海道沖巨大地震、南海トラフ大地震、
富士山噴火等の禊(みそぎ)を経て、残ったヤマトごころを持つ人が、
新たな宇宙文明を築いていくのかも知れません。

 奇しくも23年前に自衛隊の運用責任者として活動した
兵庫に住むことになりました。

日陰者扱いだった自衛隊も、
この災害対処から「認知」されました。

これからの大震災にも対処する、
最後のヤマトごころの灯(ともしび)を抱く自衛隊の
組織としての強さの根源がどこにあるのか、
何回かのシリーズとして述べたいと思います。

きっとそれぞれの組織の参考になると思います。
 まず、今回は根源の「使命感」です。


 ≪地球より重い命、その命より重い任務を背負っている≫

 かって日本では、テロリスト集団であった日本赤軍による
ダッカでの日航機ハイジャック事件で、
犯人側の要求をのんで獄中の仲間を釈放したことがあります。

時の福田首相がその時に記者会見で述べたのが、
「人の命は地球より重い」という言葉です。

もっともその後釈放されたテロリストたちが
イスラエルの空港で無差別銃撃事件を起こし、
テロに屈した日本政府の対応が問題視されました。

ところが、自衛隊ではその命より重いモノを背負って行動します。
それは、「任務」であり、「国」あるいは「国民」です。

任務に伴って、万一の時は
自らの「戦死(殉職)」を前提とする職業、
それが自衛隊です。

 約6400名の尊い命が犠牲となった阪神淡路大震災。
その被災直後の神戸でのことです。

地震は、1995年1月17日のまだ暗い
5時46分という早朝に起こりました。

犠牲となられたほとんどの方が、
寝たままの状態で突然に家屋等の下敷きになりました。

救助するためには、崩れた建物の中に突入しなければなりません。
大きな余震も頻繁に起こっています。
 
命からがら路上に災難から逃れた人のところに、
消防や警察のレスキュー隊がまずやってきました。

「建物の中に家族がいる!」と助けを求めます。
レスキュー隊には高度な救助専用の機材もあります。

しかし、レスキュー隊員は、路上の瓦礫等を取り除きながらの
救助活動は迅速に行うものの、建物の中には入りません。

余震が続き、壊れかけた家屋がいつさらに崩れるかわかりません。
こういう状況では、レスキュー隊の救助には限界があります。

何故ならレスキュー活動の原則は、二次的被害を絶対に出さないこと、
つまりレスキュー隊員自体が絶対に犠牲にならないことなのです。

いくら救助しても、そのために犠牲者を出しては、
レスキュー活動は失敗となります。

路上近くの救助を終えるとレスキュー隊は
次の地点に移動します。
 
そこに、災害派遣の要請を受けた自衛隊がやって来ました。
古いトラックから降りてきた若い自衛隊員たちが持っている
救助資材はスコップだけです。

それでも住民から状況を聞くと、
若い班長が自らスコップで入り口を作り、
腹這いになって建物の中に突入します。

それに隊員たちが続きます。
やがて、先頭の班長が「引け!」と号令をかけます。

前の隊員の足をつかみ、外の人間が順次「ごぼう抜き」するわけです。
この間、路上のご家族は、「どうか余震が起こりませんように」と
手を合わせて祈ります。

やがて、班長の手に引かれて、家族の方が助け出されます。
「やった!」「ありがとうございます!!」
 
もともと神戸地区は、反自衛隊雰囲気の強い街でした。
防災訓練で担任の自衛隊が参加したこともありませんでした。

呼んでもらえなかったのです。
その象徴的な出来事がありました。

若い反戦・反自衛隊活動家グループが、ビラを配っています。
情報収集のためいただくと
「自衛隊は憲法違反です。
自衛隊からご飯をもらわずがんばりましょう!」
と書かれています。
 
でも、自衛隊は、被災者が反自衛隊であろうが、
親自衛隊であろうが、全く関係ありません。

すべての人を、命をかけて救助し、守ります。
そこには、浅薄な人間のイデオロギーを超えた、
深い人間観に基づく利他愛につながる使命感があるからです。
 
このような命がけの救助活動をするうちに、
被災者の間に自衛隊に対する感謝の気持ちが醸成されてきました。

やがてそれは自衛隊の宿泊所となった王子動物公園の電信柱に、
「自衛隊さん、ありがとう!」というビラが貼られる
という形になって現れてきました。

「存在を認められる」自衛隊から、
「行動して評価される」自衛隊へと転換された歴史的瞬間です。


 ≪では、何故自衛隊は命をかけて救助できるのでしょうか≫

 それは、自衛隊の任務が「国家防衛」であり、
「人命救助」ではないからです。

そして日常の仕事が、「国を守るための訓練」
をしているからです。

もちろん普段は演習場でしか訓練ができませんが、
限られた地域の中で、侵略してきた「敵」に対して
いかに勝つかという、「戦闘行動」を焦点に、
そのための補給整備や治療後送などの「後方活動」の
訓練まで行っています。

「戦場」ですから、敵からの弾が飛んできて、
「戦死」や「負傷」者が出て当然の状況設定となります。

各訓練部隊は、その「損耗」を克服して、
つまり「仲間の死」を克服してあくまで任務遂行を追求します。

つまり、「死」を前提とした職業なのです。
 
例えば、尖閣諸島に中国軍が攻めてきたとします。
海空自衛隊の支援を受けた陸上自衛隊の普通科(歩兵)部隊が、
最終的な島の奪回のために上陸作戦を行います。

この激しい近接戦闘で、仮に100名の上陸した隊員が
99名戦死したとしても、最後に残った自衛隊員が
島の頂上で日の丸を降り続けることができたならば、
尖閣諸島を守るという任務は成功です。

つまり、99名の尊い戦死・犠牲の上に使命は果たされるのです。


「国としての自衛隊員へのお礼」
 そして国として大事なことは、
この戦死者に対する「栄典」と家族への「補償」です。
幕末の英雄坂本龍馬たちから先の大戦まで、
この国のために戦死された方々が祀られている靖国神社に、
戦死した自衛官を祀ることができますか?
任務に命を捧げる自衛官に独立した年金補償等していますか?
残念ながら、この国は未だその「補償」も「栄典」もありません。
この解決無くして真の日本の独立の回復はありません。

 つまり、自衛隊は普段から敵の弾が飛んでくる状況の中で、
「死を前提」として訓練し、任務遂行しています。

それ故に、現場の小部隊指揮官・リーダーの時から、
部下を死地に向かわせるための統率・リーダーシップも、
死生観も、自ずから学んでいきます。

私も小さなお子さんを持つ若い隊員から
「小隊長、おれ小隊長のためなら命を捧げる。何でも命令してくれ」
と言われたことがあります。

指揮官のために命を捧げる覚悟、
そういう人間関係の構築なくして部隊の真の力は発揮できません。

こういう死を前提とした仕事をしているからこそ、
弾の飛んでこない災害派では、救助できて当然で、
ある意味朝飯前なのです。

もっとも自衛隊にかかわらず、いかなる組織においても、
常に最悪の状況を想定して準備して対処することが大切です。

特に、難しい状況を「想定外」として
思考の範囲から除外することだけは絶対してはなりません。

これから大きな天変地異が予期される状況の中で、
万一の時は自己犠牲してまでも他人を守る、
という自衛隊が存在していることを知るだけで、
それぞれの組織の立場で、
ハラを据えた対処が可能となるのではないでしょうか。


 ≪最後はヤマトごころと武士道≫

これからの地球文明は、
全てのモノと共生する「ヤマトごころ」ととともに、
「武士道」がポイントとなります。

「武士道とは死ぬことと見つけたり」。

かっての江戸のように右脳教育時代には
この意味がわかっていましたが、
左脳偏重教育の現代人にはわかりません。

ハラキリとカン違いする人もいます。
その為一言付け加えます。

武士道とは、「他人のために」死ぬことなり。
転じて、他人のために一生懸命生きることなり。

つまり、究極の「利他愛の精神」です。

命まで賭けて他人のために尽くす。
そういう武士道精神を持つ生き延びたひとが、
地球や宇宙のすべての人々と共生して、
あらたな地球文明を創っていくのです。


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